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遺産分割の手続き

 相続する人が1人だけであれば、亡くなった人(被相続人)の財産は、すべて1人に受け継がれるので問題は生じないでしょう。では、相続人が複数いる場合、相続財産の分け方は(遺産分割)はどうなるのでしょうか。民法では、「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して遺産分割をするべき」であるとしています(民法906)。
 しかし抽象的な表現であるため、なかなかこれをもって、すぐに分割ができるというわけではないでしょう。ですから、具体的には「遺言書があれば遺言どおりに分ける(指定相続分)。遺言書がなければ、民法で定めた法定相続分で分ける」が目安となります。しかし実際は、相続人全員の話し合いで合意すれば、遺言や法定相続分にこだわる必要はなく、相続財産をどのように分けてもかまわないのです。なお、遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合でも、受遺者である相続人から他の相続人に対して贈与があったものとして贈与税が課されることにはなりません。ただし、債務の割り当てについては、相続の際、債権者の承諾が必要となります。
 

遺産分割の手続き

 亡くなった人(被相続人)は、あらかじめ遺言書で、それぞれの相続人の相続分を決めておくことができます(民法902)。遺留分はありますが、亡くなった人の意思を尊重するため、優先的にしたがう財産の配分です。
 一方、法定相続分とは、民法で定められている財産の配分です。ですから、遺言書がない場合や、遺言書があっても、指示されていない財産がある場合について一つの目安とします。また、法定相続分は、相続税額を求めるときや、相続人同士の話し合いで合意しない場合の法律上の目安となるので、きちんと理解しておく必要があります。
 ただし、話し合いで合意すれば、どのように分けてもかまわないということです。ただし、現実問題として、基準となる分け方がないと、話し合いですんなり合意するのは難しいでしょうから、遺言と法定相続分も無視できないのです。なお、このような「相続財産をどのように分けるか」を、相続人全員で話し合って決めることを「遺産分割協議」といいますが、被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでもできます(民法907)。そして、分割の効果は相続開始の時にさかのぼって生じます(民法909)。もし、共同相続人の中に未成年者がいる場合は、未成年者は単独で法律行為は出来ませんから、法定代理人 (親権者)が遺産分割協議に参加することになります。しかし、その法定代理人も共同相続人の場合は未成年者の代理人とはなれませんので、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てなければなりません。
 なお、いつまでに遺産分割を行わなければならないという規定はありません。いつでも協議によって遺産分割をすることが出来ます。ただし、被相続人が遺書で 5年を超えない期間内分割禁止をした場合を除きます(民法908)。しかしながら、遺産分割は、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月)までに終えて、遺産分割協議書を作成しておくべきです。なぜなら、遺産の分割ができない場合でも、相続税の申告書の提出期限までに申告・納付をしなければなりませんが、基本的には相続税の優遇措置が受けられなくなるからです。
 また、遺産分割後に、分割のやり直しをする事は法的には問題ありませんが、やり直した遺産について、相続人間で贈与があったものとして、もらった人に贈与税がかかることがあります。ですから、遺産の分割をするときは、迅速にする必要があるのですが、慎重に検討して行ってください。
 また、遺産分割協議で全員が合意できなかった場合は、家庭裁判所へ調停の申立てを行い解決してもらうことになります(民法907A)。さらに、調停が不調に終わったときは、審判の手続きによって分割することになります。
 

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